ARTISTS

Jiro Yoshihara

吉原治良

1905-1972（明治38年～昭和47年） / 日本

「われわれの精神が自由であるという証を具体的に提示したい」という意志を持ち、戦後復興期に関西で結成された前衛美術集団、具体美術協会の創設者。「具体」は、20世紀後半の最も重要な美術運動のひとつとして世界の美術史に名を残す。画家としても日本の抽象美術界をリードする傑出した存在だった。
裕福な植物油問屋の次男として大阪市に生まれる。旧制中学時代から美術を愛好、独学で油彩を学ぶ。雑誌「白樺」などの影響を受け、セザンヌやゴッホに心酔。1924年関西学院高等商業学部に入学。初個展直後の1929年、画家上山二郎の紹介で作品を見せた藤田嗣治に、他人の影響を厳しく指摘され、オリジナリティの重要性に目覚める。1937年第24回二科展に具象絵画から一転して抽象絵画を出品、特待賞を受賞。1938年九室会結成に参加。
1954年、阪神地域在住の総勢16名の芸術家とともに具体美術協会を結成、49歳で代表に就く。主な会員に白髪一雄、嶋本昭三、元永定正、田中敦子らがいた。絶対的リーダーとして、“これまでになかったものを創れ”“抽象的な表現であること”の2点を徹底して要求。メンバーたちは、唯一無二で目に見えない自己の精神の在り様を、色、形、物質で表現するため、革新的な素材や手法に加え、行為や身体性、時間性といった抽象概念も作品に持ち込んだ。1957年のフランス人美術評論家ミシェル・タピエとの出会いが転換点となり、“GUTAI”は欧州で熱く注目されるようになった。
一方、自身が描く作品は、1950年代の線的抽象や、素材の物質性を重視したアンフォルメルのスタイルを経て、1960年の半ばには平面的・記号的でモダンな「円」の表現にたどり着く。1970年大阪万国博覧会で、大規模なグループ展とパフォーマンス・ショー、「具体美術まつり」を行う。その2年後に吉原が急死、「具体」は解散した。
高度経済成長期を背景に、精神の自由を求め先駆的な表現を提示し続けた功績は、今日ますます評価が高まる。2005年「生誕100年記念　吉原治良展」（東京国立近代美術館ほか）。2013年には、アメリカ初の大規模な「具体」回顧展が予定される（ニューヨーク　グッゲンハイム美術館）。

Jiro Yoshihara 吉原治良

19th Century Artists & Barbizon School 19世紀＆バルビゾン派

Impressionist & Modern 印象派 & 近代

Post-war & Contemporary 戦後・現代美術

Jiro Yoshihara

吉原治良

19th Century Artists & Barbizon School

19世紀＆バルビゾン派

Impressionist & Modern

印象派 & 近代

Post-war & Contemporary

戦後・現代美術