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ARTISTS

Henri Julien Félix Rousseau

アンリ・ルソー

1841-1919 / フランス

アンリ・ルソー「眠るジプシー女」
油彩・キャンバス 1897(ニューヨーク近代美術館)

フランス西北部の小さな町ラヴァルにブリキ職人の子として生まれる。高校を中退し一時は法律事務所で働く。カーン駐屯の歩兵連隊に音楽隊のクラリネット奏者として勤務後、母親の面倒をみるために除隊。1871年パリの入市税関の職員となる。印象派の画家たちと同世代だが、中年に達してから独学で絵画を学んだ日曜画家だった。現存する最初期の作品は1879年35歳頃のものである。1880年代半ばには単純な構成による童話的主題、モチーフの細部を克明に描く技法などで、まったく独自の世界を作り上げていた。
絵画に専念するため1893年に勤めを辞し、以降は恩給と絵と音楽の家庭教師の収入で生活した。1886年から創設されて間もない無審査のアンデパンダン展に出品し始める。作品は理解されず人々の嘲笑を受けた。1909年唯一の個展を開催。生前に注目されたのは晩年のわずかな時期のみだった。絵画的伝統から離れた独自の道を、一人超然と歩んでいった。
1897年53歳の時には、月夜の砂漠で出会うジプシー女とライオンを神秘的で静かな情緒のなかに描いた「眠るジプシー女」を製作している。1904年から05年頃には静物画や肖像画、風景画は少なくなり、熱帯のジャングルの幻想など、現実と空想とが交錯するよりナイーヴな夢想が表れていった。
天性の創造力から生まれた仕事の数々は、20世紀に入ってピカソや詩人アポリネールをはじめとする前衛の芸術家たちに高く評価されている。先入観から解放された素朴さ、深い幻想性、形態の単純化と幾何学的構成は、キュビスムやシュルレアリスムを先取りしていた。

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