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ARTISTS

Edgar Degas

エドガー・ドガ

1834-1917 / フランス

エドガー・ドガ 「エトワール」
パステル、モノタイプ、紙
1876-77年(パリ オルセー美術館)

パリに生まれる。父親は銀行のパリ支店長で、芸術に強い愛情を抱いた。多くの音楽や美術に触れて育つ。パリ大学で法律を学んだが、やがて講義を放棄。バリアスのアトリエに通い、主に15、16世紀のイタリアの巨匠たちの作品模写に励む。1854年20歳の時、王立美術学校でデッサンを重んじるアングル派の画家ルイ・ラモートに師事。1858年までに延べ3年近くローマ・フィレンツェに滞在。ルネサンス絵画の模写を重ね、古典美術への思索を深める。1859年以後パリに落ち着き、肖像画を主に、アトリエ制作に没頭。マネと知り合い、カフェ・ゲルポアでの集まりに参加するようになる。1865年30歳を過ぎてサロン(官展)に初出品するもほとんど注目されなかった。1870年普仏戦争に従軍後、一転して、近代都市パリに生きる人々の風俗を描き出す。1873年モネ、ルノワールら6人と「画家・彫刻家・版画家等による共同出資会社」を設立。因習的なサロンと決別、後に「印象派展」と呼ばれる独立展を1874年に開催した。
オペラ座の踊り子、労働階級の女性たち、カフェやキャバレーの情景。それまでの絵画では扱われてこなかった独自の主題を、研ぎ澄まされた理知的な視線で捉えた。モデルたちが見せる一瞬の仕草を、卓越した技量で写し取る。伝統的な美を愛した青年時代、過去の巨匠から学んだ古典的技法や気品あるフォルムで、パリ市民の真実の姿を格調高く表現した。自らを“現代生活の古典画家”とも語る。
バレエを主題とした作品群に取り組み出したのは、1872年頃のことである。踊り子のうつろいやすい優美な動きを、肉体構造のレベルから正確につかむため、多数の習作が試みられた。室内の人工的な光の効果のもと、束の間のポーズが素早い筆致で描きとめられた。大胆なクローズアップや明暗の劇的対比、俯瞰的な視点、左右非対称の構図といった革新的表現も好んで用いた。華やかさや臨場感、張り詰めた空気など、舞台独特の雰囲気を観る者に感じさせる。
1880年代中頃から、浴女の主題を集中的に描く。晩年はほとんど視力を失い、指先の感覚を頼りに彫刻を作り続けた。死後、アトリエから未発表の踊り子や馬の像が多く見つかった。

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