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2018年.02月.16日 Friday

ART FAIR TOKYO 2018 作品紹介 | 芥川紗織

NUKAGA GALLERYは今年もアートフェア東京2018に出展いたします。
出品作品の中から、注目の作品をピックアップしてご紹介してまいりますので、どうぞお楽しみください。
第1回目は芥川紗織(1924-1966)の作品をご紹介します。

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芥川紗織「モーヴF」45.5×53.0㎝ 油彩・カンヴァス 1965年作

抑制された色面構成でありながら、屈曲した線や不定形さが目を引く。
通常、絵画が具象ではなく抽象化されると、何かのイメージ・コンセプトが浮かび上がる訳だが、この作品には捉えようがない張りつめた空間が広がっているばかりだ。
作家は芥川沙織、1959年に渡米し、まずはロサンゼルス、1960年にはニューヨークへ移住し1962年に帰国。当作品はその成果の上に1965年に描かれた。
当時のニューヨーク、草間彌生はすでにニューヨークで初個展(1959年)を開催し活動し始めていた時期であり、桂ゆきも1958年から1961年までニューヨークに滞在している。彼女らは同様にミニマルアートやポップ・アートなどが台頭するアメリカ現代美術の真っただ中に身を置いていた。

芥川沙織は、東京音楽学校本科声楽部(現在の東京藝術大学声楽科)を卒業、同級であった作曲家、芥川也寸志と結婚した。也寸志は作曲の邪魔になると、家庭内で彼女が歌うことを嫌い、沙織は音楽を断念して女学校時代に学んだ絵を描き始める。絵画は猪熊弦一郎の研究所に、またロウケツ染を野口直方に学んだ。
その才能はすぐに開花し、1953年、新制作協会展に染色画を初出品、翌年にはモダンアート展にて新人賞を受賞する。そして翌年には美術評論家、瀧口修造の推薦で養清堂画廊にて初個展を開いている。同年には同じ養清堂画廊での「女流8人展」に草間彌生らと共に選抜されている。そして1955年の二科展では岡本太郎の注目するところとなり「九室」に展示され特待賞を受賞した。
当時の作品に「女Ⅰ」(読売アンデパンダン展出品、1955年作)という作品があるが、慟哭する女をテーマとした表現主義的な作品で、そこには個としての抑えきれぬ激しい情動が表現されている。
也寸志と中国、ロシア、東欧を旅行した1954年頃から、民話や古事記をテーマにした作品を描くようになる。その一大成果が現在、世田谷美術館収蔵の横長13メートルを超える染色画「古事記より」(第3回個展 村松画廊、1957年作)である。奔放な画面構成と強烈な色使いよる画面であり、目くるめくような神話の世界が壮大に表現されている。

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芥川紗織「作品II」50×60㎝ 染色、綿布  1956年作

参照図版の「作品Ⅱ」(1956年作)も同じ頃の作品であり、黒、赤、黄の3色のみで天翔ける龍が描かれているが、闊達な筆使いによる力強い画面でありながら染み出すような情動の深みの中に取り込まれそうになる。
この年、家庭生活と作家活動との板挟みの葛藤の中、彼女は家庭を捨てて離婚する。その2年後、意を決しアメリカに旅立つ。ロスアンゼルス、そしてニューヨークへ。

さて、再度「モーヴF」の作品を眺めてみよう。
抽象画という一面的な見方を受け付けない絵画。
彼女が求めたのは、彼女にとっての本源のイメージを探ろうとしていたのではないだろうか。

彼女が渡米した頃は「ミニマルアート」全盛のニューヨーク、ではありながら彼女にとっての描くことの必然は、構成的で理知的な抽象を追い求めることではなく、自らの規定されていない内なるイメージを構築すること、それはとりもなおさず古代の神話にテーマを求めていた時からの根源的な命題でもあった。彼女が描いてきた初期から抽象に至る作品全てに共通する張りつめた緊張感と情動の発現は同質のものだ。
不定形で鋭角な形のせめぎ合いには、彼女の情動が立ち現れてきて、その揺らぎようがこの作品の魅力でもある。
それにしても1960年頃のニューヨークにあって、草間彌生も桂ゆきも、汲めども尽きぬ表現への渇望感を持って一筋縄ではいかない抽象画を描き、その情動に突き動かされながら先へと進んだ。
そして芥川沙織もだが・・・1963年に建築家、間所幸雄と再婚、1966年に妊娠中毒症にて死去。
亡くなる前年に制作された「モーヴF」、この揺らぎのイメージの先に見えてくるのは何であったのか。

By T-KURO

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